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切れ味と瞬発力

できたてのブログなのでちょっと頑張って連投連投で。
今回はちょっと曖昧な、ともすれば同義と見られがちな
「切れ味」「瞬発力」の違いについて私見を述べたいと思います。


まずはラップをひとつ。
 2009チューリップ賞
  12.5 - 11.1 - 12.4 - 12.6 - 12.7 - 12.2 - 11.1 - 11.9

ブエナビスタが勝ったチューリップ賞ですね。
このレースで逃げてあわやという走りを見せたのがサクラミモザという馬なのですが、
どうして道中差がなかったのにこの馬だけ悠々と逃げ込み体勢に入れたのでしょうか。
ラップの赤字の部分に注目して下さい。
12秒2から11秒1へと、急激に1ハロンの走破タイムが縮まっています。
レースラップはその時先頭の馬を基準に計測されますから、
これはそのままサクラミモザがたったの1ハロンで1秒以上加速したことを意味します。
レース映像を見ていただければわかりやすいですが、
サクラミモザはまさにここで、後続を置き去りにしているのです。
この、短い時間・距離で相手を置き去りにする、突き放す能力こそが、
僕は「瞬発力」と呼ぶに相応しいものだと考えています。

だから、瞬発力があるからといって、切れるとは限らないんですよね。
例えば京都で13秒フラットから11秒7に急加速したところで、
その後同じ脚しかつかえなければ上がりは35秒そこそこ。
もちろん条件によりますが、途中13秒台がはさまっているのであれば
とても今時切れるなどとは言えませんよね。
逆もまた然りで、例えばダンス産駒なんかに多いのですが、
急加速のない、ジワジワとした加速からでしかトップスピードに乗れない馬もいます。
32秒9の脚をつかって5着に負けたジョリーダンスのヴィクトリアなんかは典型ですね。

ちなみに、血統的に瞬発力があるタイプといえば、まずはサンデー。
サンデー系といわれる直仔たちから選ぶならフジキセキ、アグネスタキオン。
3歳時のダイワスカーレットなんてのは、まさに瞬発力の申し子でしたね。


次に切れ味についてですが、これは更にふたつに大別されます。
言うなれば「スパッと切れる脚」と「しぶとく切れる脚」ですかね。

まずはわかりやすいスパッと切れる脚の具体例を。
 2008関屋記念
  12.6 - 11.3 - 12.1 - 12.3 - 11.6 - 11.0 - 10.0 - 11.9

もちろん注目は赤字の10秒フラット。
いかに新潟とはいえ、ふざけたタイムですよね。
このタイムを叩き出した主犯格はもちろん勝ったマルカシェンクなのですが、
マイルでこのレベルの最大出力を実現できるのは、現役でも数えるほどでしょう。
まあ、有り体に言ってしまえば、コレがスパッと切れる脚なんですよね。
1ハロンでも2ハロンでも、とにかく相手を圧倒する瞬間最大風速で勝負する、と。

続いてしぶとく切れる脚について。
 2008小倉記念
  12.4 - 11.2 - 11.2 - 12.6 - 11.9 - 11.8 - 11.8 - 11.5 - 11.6 - 11.9

すごいですよね、ずらーっと11秒台で10秒台なんてひとつもなし。
この流れを外ぶんまわして捲くりきって圧勝したのがドリームジャーニーでした。
このようなスパッとは切れないけれどもバテない脚が、
まあそのまんまですが、しぶとく切れる脚と呼べるのかなと。

血統的に切れるタイプといえば、まずはやっぱりサンデー。
ただ、しぶとさはあまりなく、比較的一瞬の脚で勝負する馬が多いといえるでしょう。
当然たまにはダイワメジャーやマツリダゴッホみたいな例外も混じってきますが。
そして、しぶとさの方に傾いているのがグレイソヴリンやディクタス。
よくこのあたりの血統が東京や新潟で良いとされるのは、
直線が長い故にしぶとく伸びてくるタイプが台頭しやすいからといえるでしょう。


ただ、このように分類してもなかなか馬は思うようには走ってくれず、
絶好のはずの流れなのに大凡走かましてくれたり、
どう考えても伸びないはずなのに新味発揮したり、
先のメジャーのように血統のイメージとはかけ離れた馬が出てきたり・・。
まあ、だから競馬は面白いんですけどね。

by man_son | 2009-04-12 22:48 | 雑記  

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